映画「運び屋」<感想・解説・ネタバレあり>

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運び屋を観てきました。監督と主演はクリント・イーストウッド巨匠(88歳)、自身の作品での出演は2008年に公開された「グラン・トリノ」以来となるので10年ぶりです。元ネタとキャストに注目すべき点があり、その背景を知った上で映画のメッセージを知ると深みも違う映画でした。

実話に基づく作品

この映画、エンドクレジットで“2014年ニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載された「90歳の運び屋」に着想を得た”と出てきます。そう、これは実話をもとにした映画なのです。本作の主人公はアール・ストーンとう名前ですが、レオ・シャープという実在した園芸家のことを描いています。映画本編で描かれる主人公の経歴で共通点もたくさん出てきます。クリント・イーストウッドは「グラン・トリノ」で俳優引退を示唆していました。今回主演を自ら務めることになった背景にはレオ・シャープと自身の年齢的に近かったこと以外にも理由があると思われます。

レオ・シャープについて

レオ・シャープは2009年から運び屋をはじめています。2011年87歳の時逮捕され、当時アメリカでは大ニュースになったそうです。そして2016年12月12日に92歳で亡くなっています。彼の愛称は、スペイン語で「おじいさん」を意味する「エル・タタ」であったとのことで、映画でもアール・ストーンはタタと呼ばれていますね。そして運び屋になる前は園芸家で、デイリリーという1日たらずで萎れてしまうユリ科の植物の新種をいくつも生み出し、品評会で数々の賞を受賞していたそうです。父ブッシュが大統領の時代にホワイトハウスに招かれたこともあるとのことで、その道では巨匠と呼ばれている有名人でした。この点も映画で描かれている点と一致しています。

注目すべきキャストは娘役

今回DEA役のブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・ペーニャ、麻薬組織のボスをアンディ・ガルシアと実力派が脇を固める中、一番注目したいのはアール・ストーンの娘役アイリスを演じるアリソン・イーストウッドです。彼女ははなんとクリント・イーストウッドの実の娘なのです。

アール・ストーンはクリント・イーストウッド本人のことか

今作でレオ・シャープが園芸家で巨匠と呼ばれていた点、高齢で運び屋をしていた点は実話ベースですが、私生活については監督自身を描いていると思われます。本作の主人公は家族を大切にせず、仕事優先で女癖が悪い一面が出ていました。そしてイーストウッド監督は2度の結婚と離婚歴があり、5人の女性との間に7人の子どもがいて、決して家族を優先していたとは言えない生き方をしており、映画の主人公に自身を投影していたと思わざるおえません。そう考えると、実の娘を娘役に配役しつつ、自身がダメ親父だったことを伝える場面は演技なのか分からないくらいリアルに感じます。

まとめ

この映画では「学ぶことに年齢は関係ない」というメッセージが込められており監督自身もインタビューで語っています、そしてエンディング曲でもトビー・キースの「Don’t Let the Old Man In」で繰り返し「老いを迎え入れるな」と歌われていますが、これは監督が若さの秘訣について「年寄りだと思わないことだ」と答えたことをヒントに作られたそうです。色々な経験を重ねてきたクリント・イーストウッドが思う本当に大切にすべきこと、そして、悔やんで受け入れるということ、学ぶということに遅いということはないこと。アール・ストーンはクリント・イーストウッド自身であったと考えると、このメッセージはとても説得力があり勇気をもらえます。

「運び屋」予告