映画「グリーンブック」<感想・解説・ネタバレあり>

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第91回アカデミー賞作品賞を受賞した「グリーンブック」。アメリカ国内では伝統的な黒人を助ける白人の話、白人を引き立てるための黒人が描かれているとして議論も呼んでいたりしますが、昨今の作品受賞作品と比べると観る人をあまり選ばず、ちゃんと感動できる作品なので観ておいて間違いないと思います。あと観た後にケンタッキーフライドチキンが食べたくなります。ロードオブザリングのイメージが強いヴィゴ・モーテンセンの20kg増量した役作りにも注目です。実話の話でもあり、当時の時代背景などについてまとめてみました。

実話に基づく作品

この映画は冒頭に実話に基づいた作品です。マハーシャラ・アリが演じたドン・シャーリーとヴィゴ・モーテンセンが演じたトニー・リップのインタビューや、ヴァレロンガが旅先から妻へ書いた手紙に基づき作られています。またトニー・リップの息子であるニック・ヴァレロンガも映画の制作に参加しています。ニック・ヴァレロンガは俳優、脚本家、映画監督、プロデューサーとしても活躍している人物で、本作では脚本・製作・俳優として参加しています。異なる点として劇中では8週間の旅として描かれていますが、実際には2人は一年半一緒にツアーをまわっています。

トニー・リップ(フランク・アンソニー・ヴァレロンガ)について

彼は1930年にペンシルベニア州でイタリア系の両親のもとに生まれました。劇中でも話があったように子供の頃から口が達者だったため、あだ名は「リップ」でした。1951年から1953年まではアメリカ陸軍に所属しており、1961年からはナイトクラブのコパカバーナで働いており、劇中でも描かれていますね、1962年から1963年にかけてはピアニストのドン・シャーリーに運転手として雇われて、これがグリーンブックの話となっています。その後トニーは俳優としても活躍しており、ゴッドファーザーやグッドフェローズにも出演していて、2013年82歳の時にニュージャージー州で生涯を終えています。

ドン・シャーリーについて

彼は1927年にジャマイカ・キングストンで生まれました(フロリダのペンサコーラの説もあり)。トニーより3つ年上です。両親はジャマイカからの移民です。2歳からピアノを始めて、クラシック音楽を学び、初めてステージで演奏を披露したのが18歳。その後白人のシアタープロデューサーからクラシックのキャリアに進むのは辞めるべきだと助言を受けて(黒人がクラシックでは受けないから)、ジャズとクラシックを融合した音楽を作り出していき成功します。そして2013年4月6日86歳でトニーの後を追うように生涯を終えています。

▼実際に演奏するドン・シャーリーの姿

▼Don Shirley Trio – Water Boy

グリーンブックについて

タイトルにもなっていて劇中にも出てくるグリーンブックは「黒人ドライバーのためのグリーン・ブック」という正式名称で人種隔離政策時代に自動車で旅行するアフリカ系アメリカ人を対象として発行されていた旅行ガイドブックでした。名前の「グリーン」は創刊者であるヴィクター・H・グリーンに由来しています。1936年に最初に刊行された当初はニューヨークのエリアを対象としておりましたが、その後範囲が広がり、黒人旅行者にサービスを提供する宿泊施設、ガソリンスタンド、自動車整備工場なども網羅する内容になります。1964年に公民権法が議会を通過し、人種差別が禁止され、1966年に廃刊になっています。

▼グリーンブックは下記から実際に内容を確認することも出来ます。
ニューヨーク公共図書館ショーンバーグ黒人文化研究センター

人種差別とジム・クロウ法

1876年から1964年の間に存在したジム・クロウ法はアメリカ南部に存在した黒人差別の州法の総称で、広義には、アメリカの黒人差別体制一般を指します。南部でこの法が存在し、黒人への差別が強く残っていた背景には、当時黒人労働力による農業が経済の中心で、白人農園主達は黒人が白人と平等になっては困ると考えていたためでした。州によって州法が違いますが、黒人と白人との結婚が禁止されたり、白人と有色人種が同じレストランで食事が出来ないようになっていました。1964年にリンドン・ジョンソン政権は公民権法を制定し、南部各州のジム・クロウ法は即時廃止となっており、グリーンブックで描かれた旅の1年後にあたります。

まとめ

この映画はお金・教養・家族・仲間とそれぞれ持っているものが真逆な2人がお互いを補完し、理解を深めていく姿に感動します。そして、人種などに対する偏見などが世の中に存在していたとしても、目の前の人を1人の同じ人間として向き合うことで人生は豊かになることを教えてくれます。トニーの「起きろ!」の受け取り方の変化の演出など、全体的に説明的すぎず、説教じみていませんし、心苦しい場面も多い中、笑える場面も多く、ほっこりするラストなので気持ちよく鑑賞できてオススメです。

「グリーンブック」予告